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2026年10月4日

部長になったら街に出よう🏘️

Cobe Associe は、戦略と技術の問いを現場で検証可能な仮説に変えます。

けっこう真剣に仕事をしているので、なんじゃそら?と思うことがたくさんある。
しかし職業倫理としてそれを直接に書くことは難しく、ふんわりした文字にするのも憚られることが多い。というのが減速なのだけど、最近たまりにたまっているので、複数カクテルするならいっか、というのが↓の文章です。

自分が新しい組織の長になったとする。着任して数週間、メンバーの行動に違和感を覚えるようになる。前任者が置いていった会議体では不思議な議論がなされ、誰も由来を説明できない承認ルートが残り、Teamsに誰も読まない報告が垂れ流される。不自然な習慣が残る組織の一員になることは、ある意味自然なことでもある。さて、この不自然に対する違和感をどこに振り向けようか。

一つ。組織図をいじること。JTCの典型である。クズの所業だ。
二つ。「見直すぞ!」と部下をアサインし、仰々しいぱわーぽいんとをつくらせる。こんさるたんとに委託をすることもある。これも、大クズの所業である。
三つ。AsIs-ToBeを言語化して改善行動計画を立てる。もちろん誰もその計画を実行に移す気はない。何も変わらず、あなたは腹を立て、こんさるたんとに依頼をしてぱわーぽいんとをつくり・・・次の異動がくる3-5年ほどごちゃごちゃ何かをして、最初といっさい変わらず、共有フォルダに残骸だけが残る。誰もみることのないゴミ。

どれも椅子に座ったまま実行できること。組織図はあくまで図であり、組織変革の実務はもちろん大変なのだけど、最初/最後で実質的に変わっているのは線の引き方のみ。社内通達の文章はAIが推敲してくれるだろう。計画に入れる数値も適当にでっち上げてくれる。「組織は戦略に従う」?バカ言うな。言い出しっぺのマッキンゼーでもそんな頻繁に組織変更してヘンゾ。

あらゆるものには慣性が働く。社会科学ではこれを経路依存性と呼ぶ。キーボードのQWERTY配列は効率からかけ離れた存在だが(電信技師の都合説、打鍵減速説が有力だ)、打ちにくいまま150年生き延びている。

発生学者のコンラッド・ワディントンは、あらゆる細胞が同じ運命をたどる理由を、丘を転がる玉の絵で説明した。玉は谷筋に沿って落ちる。谷に入った玉を指で小突いても、同じ谷に戻る。玉を別の場所へやりたければ、山頂まで玉を押し返すか、地形ごと変えなくてはいけない。現実を変えないまま、ただ玉をつつくだけの愚者が大量にいる。↓でCをやるには相当のエネルギーがいるんやぞ。

おもしれー link

現実を見よう。谷は理由があって谷なのだ。

偉い人ほど、なぜ現実を見つめないのだろうか。自己否定になるからか。現実に自分の間違いを教えられるのがそんなに嫌なことなのだろうか。

「俺は正しいことを言った。しかし周りがそれを許さなかった」。この認知で人生を、少なくとも会社員生活を締める老害が、あちこちにいる。アホである。正しいことを言うのは簡単だ。立ち上がる必要さえない。しかしそれで現実は変わるのか。当然変わらない。そういう人間が、組織図をいじったりこんさるたんとに高額なお小遣いを渡して時間を浪費するのだ。そのお金のリターンは「僕は間違っていなかった」の自己満足だけである。

私が過去所属した会社にも屑はたくさんいた。特に広告代理店には大量にいた。しかしBCGやスタートアップで出会った多くの人は、誠実さ・Integrityと現実を動かすこと・Make it happenへの執着を持ち合わせていた。前者は、結果を自分のものとして引き受けること。後者は、仕事の単位が資料ではなく、動いた現実の数と質であること。

ゴミのような客の前で、延々と無意味なPPTを直した夜もある。それでも、あの紙は客を動かすための紙だったと信じている。紙そのものが成果だと思っている人は、少なくとも私の周りにはいなかった。紙は契約上の納品物だからつくっているだけだと客もこちらもわかっている。動きこそ、動きだけが意味を持つ。

こんさるてぃんぐは虚業の極地である。ただ、虚業の人間は自分の商売が虚であることを当然知っている。長く働いて思うのは、その虚業よりもさらに紙に近いところに座って、しかもそれを実業だと信じている人の多さだ。フォーマットに文字を埋める。元々引いてあった線の位置をずらす。それで仕事をしたことになっている人は虚実ない交ぜ、無用の長物である。

せっかく違和感を持ったなら、席を立って街に出るべきである。現実はいろんなことを教えてくれる。会議好きの自己正当化おじさんに出番はない。

お便りをお待ちしています。


💼心惹かれた

  • Ljubicic Tennis Academy:クロアチア・ロシニ島にある、フェデラーのコーチも務めたイヴァン・リュビチッチが2021年に設立したテニスアカデミー。美しいアドリア海を望むロケーションが抜群。いきてー。 link

    Tennis packages at the Ljubicic Tennis Academy - Tennis camp Croatia -  TennisTraveller
     建物屋根とクレーコートの色味が調和しているのが美しい。 link
  • セブンプレミアム 鶏白湯のとり雑炊:1年ぶりにリニューアルしてこの7月に再登場。うんま。冷凍庫をこれでパンパンにしておけばいいじゃない。 link

✏️読んだ/読んでいる

📃記事

  • ホームパーティが失われた国:Derek Thompsonの最新論考。50年前の米国では大人の42%が月に一度は友人や家族を自宅に招いていた。2026年のいまはわずか12%である。同じように減少している日曜教会への出席率の低下のほうがまだ控えめである。理由は何か?外食に移ったのではない(レストラン客のうち増えたのは一人客)、エクササイズやコンサートに置き換わったのでもない(ランニング/ヨガブームの中身はイヤホン付きの一人時間)。残る説明の一つが「慌ただしい余暇階級」、つまり豊かになるほど余暇が仕事化し、他人と数時間を調整して食卓を囲むことに時間・お金を割けなくなるというもの。確かに孤独は増えている。その原因は私たち自身にあるのだ。link

  • Z世代、悪習に還る:喫煙率は何十年も下がり続け、若者は酒を飲まずノンアル思考…と言われてきたのだけれど、Z世代が『タバコ、日焼け、ギャンブル』の悪習三強に回帰しているというArchrivalのカルチャー速報。Pinterestの検索動向を見ると18〜24歳で「喫煙ポーズ」検索が前年比70%増。米国皮膚科学会の調査では18〜29歳の2割が皮膚がん予防より日焼けを優先すると回答。なぜか?気候変動による社会不安とAI・ロボティクスによる仕事不安に圧倒されがちな若年世代は、不確実な未来へ先送りするより今の快楽を優先することを合理的と考えるのも自然である。健康経営の担当者はこの流れをどう読むのだろう。link

  • 脳は二つの臓器だった:脳は一つの臓器ではなく、別々に進化した二つの神経系が一つの頭蓋に収まったものとStanford Medicine研究チームがNature Neuroscienceに報告。前脳(言語、意識、抽象思考)と後脳(呼吸、心拍、睡眠、嚥下)は、発生初期に全く異なる前駆細胞から生じてくる。元々考えられていた『単一の前駆細胞から脳全体ができる』説はほぼ覆されており、かつ実用面の意味も大きい。これまで作れなかったヒト後脳のニューロンを培養皿で育てる新アプローチが構想され、ALSや脊髄性筋萎縮症の研究にも光が差すかもしれない。詩を書く脳と息をする脳は、異なる二人の同居だったのだ。link

  • GPSの次は地磁気か:戦争で最初に死ぬのは真実、二番目はGPSの信号である。テキサス大学の研究チームは、2019年以降欧州で起きた大規模なGPS妨害の多くはロシアの衛星群が引き起こしたものだと指摘する。戦場に自律型兵器が増えるに従い、GPS妨害技術も防衛の観点で急激に進化している。代替は二つ。地殻の岩石が作る磁場の凹凸を地図化し、磁力計で照合する磁気航法。オーストラリアのQ-CTRLはルビジウム原子にレーザーを当てる磁力計で、試験飛行で既存のGPS代替手段より高い精度を出した。もう一つは、別目的で飛んでいる電波を拾い集め位置を出す方法。衛星に頼らず、妨害に頑健な航法の開発が進んでいる。link

  • 電気と情報、二つの革命は中国で合流する:Emberの調査リポートが今回も面白い。半導体/チップ、電池、パワーエレクトロニクス、モーター、センサーの5部品は、EVにもデータセンターにも入っている。スマホが電池を安くし、EVがそれを送電網の価格にした。1990年以降、この電気スタックの価格は99%下がっている。今はそれぞれが相手の制約であり目的にもなっている。AIの限界は電力と送電網への接続速度、電化の限界は変動する供給の調整でAIがサポーターとして活躍しつつある現場だ。家庭を電化して最適化すれば運転コストは最大80%減の可能性がある。両方を同時にやっている国はほぼ一つ。電力供給を倍にし、新車の60%超をEVにした中国だ。米国はAIだけ、欧州は再エネだけ。なぜ中国が強いのか?政治ではなく、物理にその理由がある。 link

  • 求人票のみが未来の真実を教えてくれる:競合の次の一手を知りたいなら、決算説明会でもプレスリリースでもなく求人票を読め、とHarvard Business Reviewはいう。Amazonは2019年に衛星エンジニアの募集を静かに始め、数か月後にProject Kuiperを発表した。Appleは2018年に光学エンジニアらの募集を倍増させ、密かにAR投資の方向を打ち出した。財務諸表は過去の投資、広報は社会に聞かせたい話、顧客の声は過去の行動への反応。求人は資源配分がなされようとするその瞬間を記録し、しかも投資家を説得するためではなく人を採るために書かれるので嘘が少ないものである。自社の求人票を競合は必ず読んでいる。そして、競合の求人票には必ず目を向けるべきだ。 link

  • スーパーや公園を狙う爆撃の論理:1917年のレーニンは電話局と電信、駅、橋を狙って爆撃を行い、2026年秋のプーチンは、スーパーとデータセンターと遊び場を爆撃している。The Economistが取材したウクライナ側担当者は「人々がスーパーに行くのを、つまり外を出歩くことさえ怖がるようにしたいのだ」とその意図を語った。9月最終週にはキーウ中心部の病院と国立科学アカデミーが被弾した。主力は安価なパイロット誘導型ジェットドローンで、迎撃機の量産は数か月先、パトリオットミサイルの在庫はどんどん細っている。ロシアは数千機のドローンと弾道ミサイルを備蓄し、2か月で使い切る計画だと当局者は言う。冬が迫っている。総力戦の時代である。 link

📙本

  • まんが道:藤子不二雄先生がどのようにプロの漫画家として社会に出て行ったのか。真剣にプロフェッショナルを目指すときに求められる真剣さとその後ろ姿にたくさん勉強させて頂きました。テーマをいつもストックすること。模写を怠らないこと。なにより、〆切を守り続けること。 link

  • クレムリンの魔術師:プーチン露大統領の側近で”演出家”とも呼ばれたウラジスラフ・スルコフをモデルにした政治小説。とんでもねぇ面白さだど。最近仕事BGMで聞き続けているショスタコーヴィチが冒頭登場するところにも小さな巡り合わせを感じる。ダ・エンポリの本をこれから何冊か読む予定。さらにはザミャーチンも。 link

    あの忌々しいフランス人は、ロシアを見事に描写している。ロシアでは、権力と富を手に入れる唯一の手段は常に宮延だった。この国では、民衆の熱狂はまったく当てにならない。結局のところ、勝者が権力を築く場はいつも宮廷だった。だからこそ、最良の手段は、才能でなく媚びであり、雄弁でなく沈黙なのだ、キュスティーヌは、真冬のベテルブルクの街頭で貴族たちがコートも着ずに皇帝に媚びを売る姿を目撃する。真実を報道する新聞はない。あったとしても記事の内容について人々が雑談するカフェもない、ニュースの内容は、小声で指示を出す人物の意向に沿って脚色される。無言の国、眠れる美女の国。素晴らしい国だが、自由の息吹を欠いているため生気がない。そう、過去も現在も。 (p.40)

  • 外交感覚 同時代的考察:高坂正堯先生、時事評論でこんなお仕事もされていたのか。知の巨人。私もこんな風になりたい。 link

  • 侍女の物語:次のポッドキャスト課題本。ウェルベック『服従』は仏でのイスラム政権誕生に伴う女性の役割変化を描いた小説だったけれど、こちらのディストピア小説ではもっと直接的に女性の人権抑制が描かれている。これが1980年代の作品?どこまでも現代的である。 link

📻観た/聴いた

  • ジャパンオープンテニス:錦織圭選手の引退大会。お疲れさまでした。最後の対戦相手・ティアフォーがまじでいいやつで良かった。 link


🧩感じた/感じている

  • やよい軒で唐揚げを頬張る学生、請求書片手にため息をつくサラリーマン、御膳を優雅に食べて温かいお茶で締めるおばあちゃん三人組。ここには生活が集まっている。

  • 第三極としての価値。喧嘩の仲裁や適度なガス抜き、第三極だからこそできる仕事がある。

  • 私は上流階級。睡眠の。お金や会議時間よりも、睡眠時間や寝る場所を自律的にコントロールできることが何より嬉しい。独立の成果はほぼこれに尽きる。

  • 不真面目なアホは救えない。

🍵関心事

  • 経済学の囚人のジレンマと比較優位、人にうまく伝わる比喩をどう考えるか。

  • 『わからない』が増殖する循環は自然であると、どこでどう書くか

  • 誰かを元気にしたいとき、私は何が出来るか。

🥑活動報告

  • 月曜朝、日本海を北上中。明朝秋田に上陸します。ありがとう日本海フェリー。

お便りをお待ちしています。

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